「名前を出せ」だけでは終わらない。NHKに本当に求められているのは、誰が何をしたのかという説明責任ではないか?
■ 要点
今回の問題は性被害そのものだけでなく、NHKがどこまで事実を説明し、どこから個人情報を守るのかという「公共放送の説明責任」が問われている
NHKが、番組出演者から職員が性被害を受けていた事案を公表した。
NHKによると、番組出演者らとの懇親会後に被害が発生。その後、職員は体調を崩して欠勤・休職するなどしたという。
さらに問題となったのが、その後のNHK側の対応だ。
職員は別の職場での復職を希望し、主治医や産業医からも配慮を求める提案があったものの、異動が認められなかった。
NHKは一連の対応について「不適切だった」として謝罪している。
■ なぜ出演者の名前を公表しないのか
ここで疑問になるのが、
「性被害があったのなら、加害者とされる出演者の名前を公表すべきでは?」
という点だ。
しかし、性被害に関する事案では、被害者のプライバシーや二次被害を防ぐ必要がある。
さらに、捜査・法的手続きの有無などによっても、個人名の公表には慎重な判断が必要になる。
だから、
「名前を出さない=NHKが出演者を守っている」
と単純に決めつけることもできない。
ただし、名前を出さないのであれば、その代わりにNHKが説明できる範囲で、
「いつ」
「どのような場で」
「どのような問題が起き」
「NHKがどう対応し」
「なぜ対応を誤ったのか」
を説明する必要がある。
■ 構造批評──「名前」だけに注目すると本質を見失う
ネットでは、こうした事件が起きると、
「犯人は誰だ?」
という方向に一気に関心が向かう。
しかし、本当に重要なのは名前探しなのだろうか。
今回、NHK自身が認めているのは、性被害が発生したことだけではない。
被害を受けた職員への、その後の組織対応にも問題があったことだ。
つまり問題は、
「誰だったのか」だけではなく、「NHKは被害を把握した後、職員をどう守ったのか」
にもある。
■ ちょっと辛口で言えば……
とはいえ、公共放送であるNHKが、
「個人情報なので答えられません」
だけで終わってしまうなら、それも違う。
もちろん被害者を守ることは最優先だ。
でも、
「個人情報は出せません」と「説明責任を果たしません」は同じではない。
出演者の実名を伏せても、組織として説明できることはある。
なぜ報告が上層部まで上がらなかったのか。
なぜ異動希望が認められなかったのか。
なぜ被害発生から対応まで時間がかかったのか。
ここを曖昧にしてしまえば、
「結局、NHKは身内の問題を隠しているのでは?」
という疑念だけが残ってしまう。
■ 筆者見解
私は、現段階で出演者の名前を公表しないことだけを理由に、NHKを批判するのは慎重であるべきだと思う。
性被害では、被害者のプライバシー保護が非常に重要だからだ。
一方で、NHKは公共放送である。
だからこそ、
「名前を出さない代わりに、組織として何が起きたのかを可能な限り説明する」
ことが求められる。
今回の件で本当に問われているのは、出演者の名前そのものより、
NHKという組織が職員を守る仕組みを機能させられなかった理由
ではないだろうか。
■ まとめ
NHK職員が番組出演者から性被害を受け、その後の職場対応についてもNHKが不適切だったと認めた今回の問題。
出演者の名前を公表するかどうかには、被害者保護やプライバシーなど、慎重に考えるべき問題がある。
しかし、実名を公表しないことと、説明責任を果たさないことは別問題だ。
そして、二度と同じことを起こさないために何を変えるのか。
公共放送だからこそ、そこまで説明する責任がある。
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被害者を守るために名前を伏せることと、組織の都合で説明を省くことは別問題
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